川島哲のキャストパーシャルの真実

第12回 キャストパーシャルの真実

模型事件パート2  Denture Desginを学ぶには

 

I課長のお陰で、硬石膏を会社から持ち出した嫌疑は晴れたが、校長先生にどうして模型製作が解った(バレた)のかは後にして、この場では語りませんが、各種のゴム枠で作られた石膏模型を何に使うんだとの質問は?

次のようなことです。

患者さんの欠損状態は様々です。少数欠損から多数歯欠損まで幅広く、おまけにセオリー通りのマウスプレパレーションがされていないケースなど臨床はある意味複雑です。

患者さんの数に応じた原型が、その人数分あるとすれば、それは臨床の醍醐味かもしれません。多くの臨床模型に触れるトレーニングは、基本設計能力を磨くチャンスでした。

校長先生 私は設計の勉強をしたかったのです、それ以上のものは御座いません、と答えました。大塚校長先生も許してくれる表情に変わりました。

きっとこんな経験は初めての事だったのでしょう。

結局それで、話は途切れて私たちは会社に戻りましたが、少なくとも私は良し悪しは別としても注目というか目立つ存在で、あまり好ましくないタイプに思われてる空気に触れました。

そもそも私は川越から池袋で五反田で、さらに乗り換えて東急目蒲線で不動前の日本歯研に行き、午後の15時頃に新宿経由で京王線の百草園にある東邦歯科技工学校の夜間部に通い川越まで戻るのは23時を過ぎてました、体力的にへとへとでした。

毎回ではありませんが遅刻は15分ほどしてたので、勤務態度の評価はこの点だけでも落第でした。

いくらクルップ社のクルタニウム(チタンCo-Cr合金)床の研磨が早くてノルマをこなしていていても、遅刻は問題でしょう。

ですから、そのことがあった以後は自分が模型事件で悪くなくとも、そろそろとの潮時感はありました。